4月14日の記事

本日何気なく見ていた新聞の訃報欄に知っている名前を見つけました。
大人教室の生徒さんの名前でした。
私が教室を始めたばかりの時からずっと通ってきて下さっていた方です。
ここ数年は「体力がなくなって人に迷惑をかけられない」と言って、教室には通っていなかったけれど、個展や作品展には必ず顔を出してくださいました。
つい先月のアトリエの作品展にも来て下さり、お話したところでした。

体調がすぐれないようで、今までお医者さんに通っても検査は受けていなかったのが、今回はさすがに検査を受けなくてはいけないこと、食欲が全く無く食べられないとのこと、実は立っているのもやっとだということ…それらを聞いて、きっと私はすごくつらい顔をしたのだと思います。
「先生、ダメよ。人間はいつか死ぬのだから、もし私に何かあっても、あら、残念だったわね、って言うのよ。私は人が死んでもそうしてるわ」と笑っておっしゃっていました。

72歳でした。
1人暮らしでした。
訃報欄に載る前の日に近親者で告別式などは執り行ったとのこと。
きっとお通夜や告別式に人が来るのを望まなかったのでしょう。
いつも凜として、ニコニコして、朗らかで、芯があって、とても強い方でした。
生活の中で自分で決めている幾つかの項目があり、それらがままならなくなってきたので、検査を決めたのだそう。
彼女のことだから、もし体調不良の原因が見つかって、手術で治ったとしても、手術を拒否したかもしれない。
身体に傷を作って、入院して延命するのはきっと意に反することなんじゃないかと、勝手に思ったりして。

カリグラフィーの教室の初めての作品展では、「よく頑張ったわね」ってフグをごちそうしてくださいました。
私が困っているときも軽く受け流しながら、的を得た言葉をかけてくださいました。
私が自分で教室を開くまでの節々に居て下さったように思います。

つらいなぁ、淋しいなぁと思います。
涙が出ます。
でももしここに彼女が居たら
「先生、そんなことしてる場合じゃないわよ。第一死んだ人のことをいつまでも考えていてもしょうがないじゃない。あら、残念だったわねって言わなくちゃダメよ」
って叱られるんだろうなって思いながら、私なりに彼女との思い出を手繰っています。





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