菊池伶司展
東京の京橋で18日まで開かれている個展「菊池伶司展」を見てきました。
菊池伶司は1946年に生まれ、わずか22歳で病気のため他界した銅板画家です。
菊池は小さなころ腎臓を侵され、常に病気と生、死というものを意識して生きていました。
神経質なまでに描きこまれた文字や図形が心の中をえぐるようです。
作品にも、ざわざわするような不安なものがつきまとうようです。
でも銅版画特有の繊細な線がとてもきれいに見えることも。
ギャラリーで買った本は帰りの新幹線で読み切ってしまいました。
中には菊池の日記も出てきます。
身体と精神、作品を作るということ…様々な葛藤やそれに向かう言葉がガンガン描かれていて、何度も読み返してしまいしました。
中でも私の心に来た一節。
「一つの手がかりを発見した。俺自身の世界へのかすかな足がかりとなるものだ。しかし、これは変わらねばならない。まったく異なったものへ変化してゆくのかもしれない。それは、俺自身にさえわかりはしないが、とにかく筆やナイフが主体的に動いた。ズンズン生き物のように動いた。まるで俺の手は俺の生命ではなくして、何か他の抽象的な生命によって動かされているようであった。」
「描く」ことの意味が、人によってどれほど違うのかを思い知らされる気がします。
本はアトリエに置いてあります。
読みたい方は遠慮なく言って下さいね。
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